現場女子|ものづくり女子|職人女子|木工女子|武内舞子

オーダー家具|無垢家具|職人の工房【KOMA】

ダイニングチェア|木製椅子|koma.jpg

武内舞子.jpg

2015,12,21/武内 舞子





荻野 隆雄のつづき。

【武内 舞子

マイちゃんと呼んでいる。

神様か仏様からの贈り物だと思っている。
今ではKOMAに無くてはならない存在である。
仕事内容、存在感共にそれほどのウエイトを担ってくれている。
どの男達よりも仕事をしている。



2012年。
最初に会ったのはどこだか忘れたがKOMAの展覧会に荻坊が連れてきた。
家具づくりの学校に通っていると言っていた。

23歳になろうとする今では超生意気で男だったらブン殴ってるが、
当時は19歳のかわいらしい女の子だった。



数ヶ月後、とんでもなく忙しい日々。
猫の手も借りたいとはこの事だ。


あの時のあの子を思い出した。


週一でもいいからバイトにこない?

で通ってくることになる。

バリバリの職人の男社会で修行した俺が運営するKOMAもまたバリバリだ。
女の子とどう接していいか分からない。
なんだか気を使うのも面倒だ。
仕事の上でも雑用係と俺の接点はほとんど無い。

そして数ヶ月。
忙しさには拍車がかかる。
週三でこれない?
週四でこれない?
週五で来れない?

なんとも都合の良い話だ。

そんな最中。
2014年7月。
ある日突然、彼女にとってチャンスが訪れる。
彼女の先輩にあたる若い衆がバックレたのだ。
その彼が担当していた仕事を彼女にダメモトでやらせてみた。

ん?え?マジ?超上手いじゃん!!!
最初の一本目から先輩達よりも上手い!!
そして速い!!

二本目、三本目と回を追うごとにドンドン上手くなる!!

生意気小僧の片鱗も現れた。
「これくらい出来て当たりまえじゃないっすか?」だって。。


聞けば家は大工の家系で小さな頃から作業場が遊び場だったそうだ。

木材への刃物の入れ方のセンスが違う。
手つき身のこなしに「理」がある。

全く気付いていなかった俺のダメ親方ぶりが露呈された。
お恥ずかしい。。

後で分かったが、ずっと密かに練習をしていたらしい。
変にアピールしてこないそこら辺も俺なんかよりずっと凛々しくて好きな所だ。

どの業界も同じだろうが一つ一つのチャンスをキチッとモノにしていく事が大切だ。
いつでも来い!と思えるまでの準備。
今がチャンス!と感じるセンサー。
必ず掴む!という気合い。

チャンスを掴んで駆け上がっていく人間の様は傍目に見ても面白い。



そこからはアッという間だ。
じゃあこれ出来る?
じゃあこれやってみ?
の繰り返し。

どこまでもついてくる。

未だ天井知らずだ。



最近では俺とスピードでハリあう事もある。

お客様にとっては関係ないが、職人にとってスピードは最重要と言っても良い。
もちろんクオリティーが最優先だが、同じ品質だったら早けりゃその方が良いに決まってる。

なぜなら、職人にとっては、どれだけ段取りよく効率良く仕事ができたか?ってことに繋がるからだ。
段取りと効率の良さはクオリティーに直結する。

止まる事無く、無駄なく、理にかなった動きで流れる様に作業出来ているときは、違う世界にブッとんでいるような感覚になる。
何も考えていない。
ただ目の前にあるコトだけ。
身体は俺のモノじゃなくなる。
そんな時はとんでもなく良い家具が創れる。

当然、ブッチギリで速くもある。

その為には準備も必要だ。
前夜から製作物の寸法や角度を頭に叩き込む。
作業工程を一から何度も何度もイメージする。
帰りの車の中、晩飯、風呂、何をやってる時もずっとだ。

そんで、歩き方の一歩までイメージ出来たらそのまま寝る。
すると大抵、夢の中でも考えられる。
意外と良いアイデアが出たりする時もある。
朝には髪の先まで集中できてる。
作業の直前まで確認をして、よーいドンだ。


だから、「速い」は職人にとって「どれだけこの仕事マジでヤッてますか?」ってことだ。



そして、会社を持続させる事において「仕事が速いヤツ」っていうのは「最高に仕事がデキるヤツ」だ。
なぜなら儲かるからだ。
俺たちはアーティストじゃない。
作ってなんぼの職人だ!


椅子一脚の極一部の仕上げだが、難易度の高い部分がある。
道具は刀、鉋とサンドペパーだ。

今までの若い衆の平均が60分前後。
俺がサラッとやって30分。

だから、「60分でいいけど、30分で出来たらホメてやるよ〜」

そしたら28分だった。

マジかよ?じゃあイッチョやってやろうか?!
で俺が22分。

そしたら18分を出してきた。


この野郎!
で俺が15分

彼女は18分を切れず。

もう一回、俺がダメ押しの13分で勝負ありだ。


でも、これに関しては、あと少しで抜かれるな〜と思う。。笑





今年、賞や海外展示などで大活躍だったKOMA初の量産モデルであるsim chairは彼女のおかげでうまれた椅子だ。

KOMAの椅子は量産と言えど職人技を多く盛り込む。
その為、量産型を維持継続は技術の維持継続とイコールだ。
今までは俺にしか出来なかった刀などで行う仕上げ作業は製産数に限りがある。
一人ではとても出来ない。

でもずっとやりたかった事の一つだ。
その目標が叶って、会社の可能性を大きく変えたと思う。


そのおかげで、若い衆一人一人の成長が会社全体に大きな影響を与える事を知った。
それも、俺だけでは絶対出来ないトンでもなく大きな影響だ。


こっちが本気で期待すれば、人はそれ以上で応える努力をしてくれるってことを教えてもらった。


親方から受け継いだ技術を繋げる子がやっと出てきた。

俺にとってマイちゃんは宝そのものである。


そんなマイちゃんに片思いを続けた男がいる。
最年長のエビちゃんだ。
最近独立をした。


海老沢 俊につづく。