2017.12.29/KOMA-1グランプリ
社内デザインコンペなんていったら大げさだが簡易的にそれらしき事をやってみた。
定期的な月に一度の飲み会で乾杯から最初の1時間に行う余興だ。
ルールはA4の普通紙に1人1案の一発勝負。
プレゼン時間は1人3分。
優勝賞金1万円。
KOMA shopで使う備品や小物から新人でも参加できそうなお題を店長が決めて審査まで行う。
大喜利に近い感覚で盛り上がることが目的である。
今回は「傘立て」
shopの備品と言えどできれば「いくつか作って販売できる物にしたい」
ようするに値段をつけたいということだ。
プロと趣味との根本的な違いが生じる。
こうなると急にものづくりが難しくなる。
親方の役割としていろいろ迷ったが第一回はあえて「ムカつく勝ち方」ってのを見せる事にした。
世の中の「勝ちにくる人たち」ってどれくらいマジでぶっ潰しにくるか、今後のKOMA-1GPをもっと盛り上げる為に半分遊びだけど真剣勝負の基準になればとの思いからだ。
今回はみんなが出してくるアイデアを予想して片っ端から理屈でつめて消去法で排除する提案だ。
なんと言ってもテーマはムカつく勝ち方だ。
まず条件を考える。
傘立てだ。
屋外使用の可能性もあり、そもそも木は水との相性が悪い。
椅子などのように座り心地などの分かりやすい差別化が出来ない。
劣化の可能性が高く組んだり接いだりの加工はNG。
狂いやワレ、カビの可能性が高く板を使うのもNG。
せっかく手間を掛けて良いモノを作ってもすぐに劣化してしまいクレーム対象になる。
また、KOMAにとっては数が出る商材ではないから在庫を抱えるのも、鉄など異素材の外注を使うのもNG。
塗装でコーティングというのもKOMAでやる仕事ではない。
こうなるとKOMAでつくる傘立ては成立しない。
あらゆる面でリスクが高くウチにはそもそも向かない商材だ。
それぞれみんな面白かったが予想どおり直球の木製傘立てを提案して来た。
これで出揃ったみんなのアイデアは全部NGだ。
さあここからが本番。
おおトリで俺のプレゼン。
少し話が脱線するが、
材質の特性だったり予算だったりと理由は様々だが、今回のようにデザインが成立しないという事は珍しくない。
そんな時は、例えば「椅子」のデザインではなく「座る道具」のデザインとして考えると幅が広がり、固執しないで発想が自由になる事がある。
今回の傘立てはウチが木で作るにはリスクが多いが「傘を置く道具」だったら可能性はいくらでもある。
だから「傘立てそのものは作らない」
壁に外壁用の両面テープで木の突起を付けてそこに笠の柄をひっかけるだけ。
組手も接ぎも無いから壊れない。
物が小さいから狂いやワレのリスクが少ない。
安価で数年してダメになったら付け替えればいい。
お客さんが欲しい寸法や形にオーダーで応えれば良いから在庫リスクも無い。
あらゆる面のリスクが回避できる。
なんとなくこんなイメージだ。
(詳しくは実際にKOMAshopに取り付けてからお伝えします。)
何れにしてもジャッジはKOMAshop店長の久美さんだ。
だけどもう答えは見えている。
売る人にとって劣化などの品質に対するリスクは絶対に避けたい。
主力商品でない物の在庫リスクも避けたい。
「え〜それだけ〜?一生懸命考えたのに〜!」と肩透かしを食らったような若い衆。
「んなもん何回転も考えてのコレなんだよ!笑」
これは単純に経験値の差というやつだ。
1万時間の法則なんていうのを聞いた事がある。
才能を開花させるのに最低限必要な時間だ。
毎日8〜10時間で約3年。
最低限これをクリアしなければどんな才能も開花しないという事らしい。
たった3年で?
そりゃよっぽど才能のある人に限ってだと思う。
俺の場合もう18年になる。
結構みっちり6万時間やってきたつもりだが、その分だけは出来るようになっただけで今のところ才能が開花した様子はない。
修行を始めた頃「お前は才能がないから他の仕事をした方が良い」と親方衆からよく言われたが、なるほど納得でその通りなのだろう。
だけど続ける根性さえあれば好きなことやってメシが食えるようになる。
この18年で知ったことだ。
ただ「良い家具が作れるようになりたい」と最初からずっと変わらず今でも同じように思っている。
優勝賞金の1万円は
「松岡さん会社の経費つかい過ぎ!」
武内マイちゃんの一言で、俺の財布に入る前に没収されてしまった。
来月のKOMA-1GPのお題は「ゴミ箱」らしい。
また本気で勝ちにいこうと思う。
写真は、KOMA-1GPと同時に行った佐藤21歳の誕生会。
毎回みんなそれぞれ誕生会のプレゼントはかなり気合いを入れる。
今回は上着、バッグ、ヘルメット、インテリア小物、オイルライターなど。
写真にもあるようにかなり豪華だ。
だから「何にするの?もう決めた?」なんて本人にバレないように相談しながらけっこう悩む。
貰う方はもちろん選ぶ方も楽しいイベントだから今後も程良く続けていきたいと思っている。